身近に使われているのれんについて
ロードサイドのお店の駐車場にはのぼり旗が立っており、集客力を発揮しております。
また大きな看板は2階の屋根ほどの位置にあり、中に電灯を仕込むことで
夜間での視認性を高めているのです。
こうした文化は現在始まったわけではなく、すでに江戸時代には身近になっていたと言われております。
のれんは例えば歌舞伎役者や相撲取りの楽屋口にかけられて使われ、
遠くから見ても認知出来るので集客効果があったと言われているのです。
現在よりも娯楽が少ない時代でしたが、相撲や歌舞伎の公演がやってくると
色取り取りののぼり旗が立ち並びました。
そして屋号や名前の記載された楽屋のれんがかけられて、人々の視線と興味を奪ったのです。
ある種の看板としての効果があるものでした。
現在もラーメン屋や蕎麦屋などの軒先に飾られており、目隠しや日よけの意味だけではなく、
目印や屋号として使われている側面があります。のれんによってその店が認識出来るので、
人々の記憶にあるデザインやカラーは心に訴える訴求効果を持っているのです。
現在で言えば高級ブランドのロゴのような存在であり、自身の商売を端的に表示する屋号の意味があります。
古いものではなく街中を見渡せば、現在でも現役で使われている商標表示の一種なのです。
のれんはブランドの顔です
本格的な和物の生地は正絹生地や綿生地で作られており、古くから伝わる伝統的な染料で染め上げられて作られます。
布は繰り返し染料に潜らせてから川で洗い、現在でも川の名前や土地には布に由来したものがあるぐらいです。
一大産業でありとても手間のかかる産業でありました。
現在では布を染め上げるのも機械仕掛けで行われており、のぼり旗などは布地の上に
パソコンから出力したデーターを簡単にプリンターで印刷出来るようになっております。
手間がかからなくなった分だけ安価に提供出来るために、たとえばイベントなどでは
使い捨て感覚で周知活動に使われるケースも多くあるのです。古来から日本だけではなく
世界中で布は貴重品として知られておりましたが、工業が発達するにつれて価格が下がりました。
のれんは日本の伝統的な文化に密接に繋がっており、現在でも手作業で紡ぎ染め和えられた物は高価なことが特徴です。
のれんは家紋を染めたり屋号を表示することで自分たちの商売や伝統をアピールし、
のれんに誇りをもって生きることで伝統を守るシンボルになります。
人々に認知してもらい興味を抱かれて、集客にも繋がるので正に顔としての役割を担っているのです。